はじめましての、あなたへ ー家族が病気になったときー

脳疾患により障害をもった家族との日々

最初にかけた言葉

青ざめた表情をしながら

ひたすらに手術が終わるのを待つ

 

母の手には医者から図解付きで説明されたメモ

くも膜下の症状のレベル、最高度の「5」の数値が書かれていた

 

 

祖母は90歳を超えているのに

9時間ずっと病院の待合室にいる

 

母が散歩させたり

飲み物や食べ物を飲み食べさせて

過ごしていたが

 

二人ともかなり疲労が溜まっていたようだった

 

ほどなくして、手術が終わり私たちは呼び出された

集中治療室のような所に通される

 

そこでやっと、叔父に会えた

 

私たち家族が、最初にかけた言葉

 

「よく頑張ったね」

 

自然とこの言葉が全員から出てきた

叔父の目尻には、うっすら涙のあとが残っていた

相当の痛みだったのだろう

 

頭蓋骨を開けて手術した叔父は

髪を全て丸刈りに、そしてたくさんの管が繋がっていた

 

でも、身体は暖かかった

幸いにも、一命は取り留めたのだ

 

安堵としかし大きな不安が入り混じった中

私たちはなんども叔父の身体をさすった

 

頑張った、よく頑張ったねと

 

ひとまずその日は帰宅することにしたが

残された家族の空気は重く

家の中は、慌てて飛び出した今朝の痕跡がしっかりと残っていた

 

私はその日夢をみた

叔父が、普通にいつも通り、居間で過ごしている夢だった

 

なんだ、いつも通りじゃんと、

私はただいつもの風景を眺めている、夢だった

「いちばん早く着く便で」

とりあえず実家に帰る、という選択をした私は、ひとまず空港へ。

 

意外にも冷静だった。向こうでカウンターで、今まで言ったことのない

「いちばん早く着く便で」とグランドスタッフさんに伝え

高額なチケットを買った。

 

向こうで食べる時間もないからと、

とりあえずそばを胃に突っ込んだ。

 

母親に帰るから欲しいものがあったら言ってと連絡し、

 

飛行機へ。

 

飛行機の中でぐるぐると、いろんなことを考えた。

そもそもこの行動すら意味があるのかと、

自分でも答えも出ず。地に着くまでじっとしていた。

 

空港から街まで移動し、欲しいと言われたタオルやクッションを買い、

今まで降りたことのない病院のある駅へ。

 

大きな病院だったので場所もすぐわかり、ロビーについて連絡しようとしたところ

ちょうど母と祖母がいた。

 

顔をみた瞬間、ああやっぱり来て良かったと。

 

青ざめて疲労の出た二人の顔をみて、心底そう思った。

 

倒れたと連絡をもらってから9時間程度、

 

まだ手術は終わっていなかった。

 

 

ある日曜日の朝

さちこです。

改めまして、訪ねてくださりありがとうございます。

 

少しだけ自己紹介の続きを。

私は20代後半の女で、住まいは東京、実家は北海道です。

実家の家族が病気になったこと、そこから介護の問題、自分自身の働き方など、

いろんなことを思うようになりました。

 

このブログでは主に家族が病気(脳疾患)になった時のことを、

ただただ思うままに、書き残しておこうと思います。

 

まず、家族が倒れた時のことを。

 

それはごく普通の日曜日に起こりました。

 

朝ベッドで寝転がりながらYouTubeを見ていたら

珍しく母親から電話が。

 

少し時間が早いなと思いながら電話に出る。

母親の声は、しっかりとしていたけれどどこか少しトーンが暗かった。

 

「落ち着いて聞いて欲しいんだけど」

 

この言葉に少しグッと体に力が入った。

実家には90歳を超える祖母がいるため、覚悟はしているけれど。

 

しかし予想に反して聞いた言葉は

「叔父さんが倒れた」

の言葉だった。

 

実家には母、叔父、祖母が暮らしており、(父は私が幼い頃に癌で他界)

祖母は何かある覚悟はしていても、叔父はまだ60代前半、予想外だった。

 

転んだりしたのかな、程度に思っていた私に降りかかった言葉は

くも膜下出血で」

という母の言葉。

 

さすがに頭が真っ白になって、一気に涙が吹き出してしまった。

 

冗談じゃなく、本気でお数珠を持って行った方がよいのでは、と思ってしまうくらいに

くも膜下が致死率の高い症状であることくらいの知識は持っていた。

 

帰った方がいいか、どうしたらいいか、年甲斐もなく泣いてしまう私に、

母は「大丈夫だから」を繰り返した。

 

電話をひとまず切っても力が出ない。

本当はその日用事があったけれど、迷惑をかけてしまうが欠席させてもらい、

 

とにかく空港へ向かうことにした。

 

続きます。

はじめまして

はじめまして。さちこと申します。

訪ねてくださりありがとうございます。

 

このブログは私の家族が一年前にくも膜下出血で倒れてから、今まで

思ったことや出来事を、何か残したいなと思い、はじめました。

 

今でも辛い出来事を、言葉にすることをずっとためらっていましたが、

 

倒れた当時、情報も少なく、この先どうなるか分からない不安の中、

 

もちろん治療などは専門の方々の判断に委ねますが、

 

同じような病状の方のブログや、介護をしている家族の方のお話、

経験を交えたお話や読み物が、私の支えでもありました。

 

なので、ちょうど家族が病気になって一年がたった今、

自分への備忘としても、そして同じように不安に駆られている方の少しでも救いになればと

書き残してみようと思います。

 

今同じ状況の方も、親への介護について考えている方も、どうぞ立ち寄っていってください。何か考えるきっかけになればと思います。

よろしくお願いします。