「いちばん早く着く便で」
とりあえず実家に帰る、という選択をした私は、ひとまず空港へ。
意外にも冷静だった。向こうでカウンターで、今まで言ったことのない
「いちばん早く着く便で」とグランドスタッフさんに伝え
高額なチケットを買った。
向こうで食べる時間もないからと、
とりあえずそばを胃に突っ込んだ。
母親に帰るから欲しいものがあったら言ってと連絡し、
飛行機へ。
飛行機の中でぐるぐると、いろんなことを考えた。
そもそもこの行動すら意味があるのかと、
自分でも答えも出ず。地に着くまでじっとしていた。
空港から街まで移動し、欲しいと言われたタオルやクッションを買い、
今まで降りたことのない病院のある駅へ。
大きな病院だったので場所もすぐわかり、ロビーについて連絡しようとしたところ
ちょうど母と祖母がいた。
顔をみた瞬間、ああやっぱり来て良かったと。
青ざめて疲労の出た二人の顔をみて、心底そう思った。
倒れたと連絡をもらってから9時間程度、
まだ手術は終わっていなかった。